ご注文は進捗ですか?

気になったことを結論が出ないまま置いたりしています。ときどき進捗も置く。

太陽風の神秘

こんにちは。
今日は久しぶりの宇宙の話についてです。
NASAからこんな発表がありました。
www.nasa.gov

今回はNASAの探査衛星が太陽に接近して剥がした太陽風の神秘を見ていきます。
ではいってみよー。

太陽風is何?

話に入る前に太陽風と宇宙天気について簡単に説明します。
太陽風とは太陽のコロナから放出されているガスのことをいい、主な構成要素は陽子と電子である。太陽風は電気を帯びたガス、つまりプラズマが超音速にまで加速された流れのこと。プラズマは太陽の磁力線を引っ張るので太陽風は電気のみならず磁力も有している。*1*2太陽風は太陽の自転によって横方向に回転する形で、つまりスプリンクラーのような形で放出されている。
宇宙天気とは、太陽活動によって生み出される様々な太陽風の動きのことをいう。よく知られたものとしては太陽風に伴う高エネルギー粒子線の影響で人工衛星に支障が出る現象が挙げられる。
太陽活動を解明し太陽風の動きを予想できるようになることは衛星運用やISSで活動する宇宙飛行士の安全のために重要なことである。

衛星Parker超接近

今回、NASAの太陽観測衛星Parker は太陽に約1500万マイルまで接近した。これは太陽と水星の距離(約1500万マイル)よりも太陽に近い。これだけの距離に接近した観測衛星はParkerが初めてであり、またこの時の速度は時速21万3000マイル、つまりおおよそ時速34万2800kmだった。これほど高速度で宇宙を旅した衛星は未だかつて存在していない。

明らかになったこと

Switchbacks

これは太陽風の磁気が反転する現象のこと。この現象は太陽と水星間でよく見られ数秒から数分続く現象だと考えられている。放出された磁力線がS字を描いており,太陽風の加熱・加速に関与してしているとされている。しかし,なぜこのような現象が起きるのかは分かっていない。そして,太陽風の乱流やプラズマが不安定になることで局所的に太陽の磁場・電場が変動するが,これまでの予想よりも大規模なものであるとされている。
この現象は太陽風の加熱・加速の機構を解明するヒントになるだけではなく、恒星がどのように活動し周囲の環境にどのように影響を与えているのかを解明する手掛かりになることが期待されている。

太陽の自転と太陽風

太陽の自転が太陽風に影響を与えており,プラズマ速度に驚くべき大きな方位角成分,つまり半径方向に垂直な速度が見られた。太陽風は太陽の自転に同調するようにして放出されており、太陽風の横方向の動き(砲丸投げのような感じで太陽風は放出されているということか?)は予想よりも強力で、横方向から直線方向に変化するまでも予想よりも早かった。太陽風の方向の変異点に対する理解は、どのように太陽の自転速度が時間の経過とともに遅くなるのかということを解明する鍵になる。

太陽風内のダスト

太陽から400万マイル程度の距離(!?)での観測によると、太陽風に含まれるダストは太陽から約700万マイル離れたあたりから薄くなっていくことが明らかとなった。このことは約1世紀にわたり理論的には唱えられてきたが、今回それが観測で裏付けられた事になる。そしてこのダストは太陽に近いと高温になりガス化し、太陽の周囲ではダストはガス化して無くなっていると考えられてきたが,今回はこのダストフリーな領域の存在を示唆する結果を得たことになる。ダストフリー領域の存在に関する詳細は来年に行われれる予定のParkerの6度目の接近観測で明らかになるだろう。

エネルギー粒子

観測によると、太陽から放出されるエネルギー粒子の痕跡は地球に届く前に無くなっていることが明らかになった。さらに重い元素において特に高い割合で粒子バーストが観測された。これらの太陽から放出されたエネルギーイオンや元素は太陽磁場に沿って動くため,移動速度の速い粒子と遅い粒子に対するParkerの捕捉時間の差を利用して粒子の軌跡の距離を見積もることができる。この軌跡は予想よりも長く,太陽磁場もより複雑であろうと考えられている。
太陽から放出されるエネルギー粒子は宇宙天気の大きな要因であるので、エネルギー粒子の放出について理解することは衛星で活動する宇宙飛行士をより安全下に置けるだけではなく、宇宙天気の観測にも重要である。

終わり。
今回の発見は、「太陽にめちゃくちゃ接近してみたら太陽風の磁気の反転とかダストの薄くなるところとか明らかになったよ」というお話です。一番近い恒星太陽、実はわからないことだらけだったり。