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気になったことを結論が出ないまま置いたりしています。ときどき進捗も置く。

医療システムとかのお話。

ゐゑ―――――ゐ!

今回は病院システムのお話。
これを読みました。特に理由はないのですが、面白そうだったので。
ちょっとカッコよさげな名前に惹かれた

医療情報学入門

医療情報学入門

IT化の波が医療の現場にも及んで久しいわけですが、実際のところどうなっているのでしょうか。

医事システム

医療保険制度に従って診療会計業務をコンピュータに行わせるものをいう。患者管理・外来カルテ管理・会計収納管理・レセプト管理・入院患者管理・病床管理・統計処理等からなる。

患者管理

初診の場合

患者情報の登録を行う。登録される情報は、

  • 患者基本情報:

ID・氏名・性別・生年月日・登録日

  • 患者保険情報:

被保険者氏名・資格取得年月日・事業所所在地・名称・保険期限・継続区分・負担割合・負担額・福祉給付金情報・保険証確認日

  • 患者個人情報:

身長・体重・血液型・住所・連絡先・禁忌情報・アレルギー情報・感染症情報・予防接種と罹患の有無・障害の有無・その他特記事項

再診の場合

自動再診受付機に診察券を入れ、自動で再診手続きを行う。

外来カルテ管理

カルテは医師にとっては患者の記録として重要なツールであるが、会計課等にとって診療報酬を計算する上での重要な記録である。

1患者1カルテ

診療科に関係なく、一人の患者に対して一つのカルテを作成し管理する。複数の診療科のカルテ内容が一つのカルテ内に共存することになる。一つのカルテ管理室で集中管理ができる。規模の大きい医療機関ではコンピュータによりカルテの検索・抽出を行う。

再診受付機からカルテ情報を受け取ると自動的に検索し取り出し口にカルテをセットする。搬送は人力。

  • シングルピッカー:

カルテをロボットが検索し抽出、搬送まで行う。Amazonの倉庫をイメージするといいかも…?hostで管理でき、IDと送付先を与えれば抽出から搬送まで行ってくれる点で優れている。

1患者多カルテ

一人の患者に対して診療科別に作成されるカルテのこと。

  • アクティブカルテ:

現在継続してかかっている診療科のカルテ。

  • インアクティブカルテ:

ある期間を徒過しても再診に来ない患者のカルテ。来院なく一定期間が経過するとインアクティブカルテ室に移送される。

会計収納管理

患者の伝票を基に入力し又は医師がシステム上で入力した記録を受け取って診療報酬を計算・請求する。その際、処方箋があれば渡す。

レセプト(診療報酬請求明細)管理

入院外来ともに一か月単位で会計を集計し診療報酬請求書を作成する。レセプトは審査機関(社保・国保)に提出し審査を受けたのち支払いを受ける。

統計管理

経営情報の把握や行政に提出する資料のために統計処理を行う。

  • 診療費月報:

診療区分ごとに診療点数や構成比、患者一人当たりの診療費等を科別・保険別・医師別・分類別等に計算する。

  • 患者数月報:

科別・医師別・地域別等の入院外来患者数等を計算する。

  • 行為別件数月報:

診療費、薬剤費、注射・処置・手術・検査・画像診断料、器材費、入院費、医学管理料、自費項目等の件数分析を行う。

課題

レセプト管理における負担の大きさ。紙で処理するため作業量が多くなる。そこで近年は電算処理が普及しつつある。

オーダリングシステム

医療機関の各部署をネットワークで結んだシステムのこと。これにより、例えば、診察室から医師により入力された情報を迅速に会計課や薬局が取得できるので、患者の待ち時間を減らすことができる。検査室などで検体をラベリングし、それを以て管理するケースもオーダリングシステムの1つである。

課題

電子的に管理する一方で紙のカルテも存在している。つまり、カルテの2重化がなくなっていない。

部門システム

医事システムとオーダリングシステム、そして電子カルテの各情報を相互に参照可能にしたシステム。

  • 臨床検査システム
  • 看護システム
  • 薬剤システム
  • 給食システム
  • 病歴システム:病名や処置などをICDコードと呼ばれる標準コードで管理する。
  • 放射線情報システム:文字情報(検査依頼・読影結果・検査実施情報など)を処理するRIS(Radiology Information System)と画像情報を処理するPACS(Picture Archiving and Communication System)がある。
  • 物品管理システムと物流管理システム(Supply Processing Distributionシステム):医療機関の物資の管理を中央一元化する。

電子カルテシステム

2001年に発表された「医療制度改革試案~少子高齢社会に対応した医療制度の構築~」と「保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン――最終提言」において示された将来の医療のあるべき姿として、情報提供・質向上・効率化がある。これに対応した手段の一つが電子カルテシステムである。質向上に関しては電子カルテシステムで患者のデータを一元化できることやインターネット上で情報提供ができることを、効率化に関してはフィルム等の消耗品の消費を抑えることが可能であることがそれぞれメリットとして挙げられる。

電子カルテの3要件

  • 真正性:データが「正しい」
  • 見読性:いつでもきちんと「見える」(肉眼で認識できる・データ取得に時間がかかりすぎないなど)
  • 保存性:法定期間内は「復元可能」

医療の情報化の問題

ITの発展により、患者が自己情報をコントロールする時代に変化。
OECDが1980年に示した個人情報保護ガイドラインによれば、

  • 収集制限原則(collection limitation principle)
  • データ内容原則(data quality principle)
  • 目的明確化原則(purpose specification principle)
  • 利用制限原則(use limitation principle)
  • 安全保護原則(security safeguards principle)
  • 公開原則(openness principle)
  • 本人参加原則(individual principle)
  • 責任原則(accountability principle)

そして95年にEUが個人情報に関するEU指令が出され、日本では03年に個人情報保護法が、翌04年には厚労省が医療関係機関に対して個人情報の取扱に関するガイドラインを示すなど、個人情報保護への潮流は強まっている。

HCI(Human Computer Interaction)

現場にとって有用なUIを実現したシステムが必要とされている。医療データという特殊なデータの性質を取り込んだデータ表現形式が求められる。

地域医療システム

保健所や自治体が中心となっているシステム。サブシステムに、

  • 健康管理システム:健康診断等を通じて住民の健康管理を行う。検診情報の管理や検診通知サービスなど。
  • 救急医療情報システム:救急医療業務(救命センターなど)と搬送業務(消防)の連携により、住民も医師や診療科の情報、空床情報などをネットワーク上で迅速に取得できる。
  • 在宅医療・福祉システム:在宅医療者等の情報管理やモニタリング、リモート診断など。

などがある。
つまるところ、地域医療システムは、

  • 病院情報システム
  • 診療所システム:病院との連携を特に病診連携という
  • 個人認証システム
  • 地域医療情報システム

をネットワークを介して連携させたものである。

遠隔医療情報システム

厚労省が遠隔診療は医師法にいう医療に含まれるとの解釈を示したことやテレビ電話等を含む電話相談に対して診療報酬が認められたことなどから、今後急速に発展する可能性がある。

介護・福祉情報システム

この分野にITが導入されたのは、

という背景がある。

介護保険制度でのIT化

  1. 要介護認定:プログラムを用いて全国一律の判定基準
  2. 国保団体連合会が審査支払システムをIT化:事業者からの請求も電子媒体が原則
  3. ケアプラン作成のIT化
  4. WAMNETの活躍:福祉保険医療情報ネットワークシステム上で指定介護サービス事業者の情報を掲載し誰でも見られるようになっている

医療データベース

EBM(Evidence Based Medicine)の浸透。

EBMの流れ

  1. 患者に対する臨床上の疑問を定式化
  2. 情報を検索・収集
  3. 情報の妥当性を評価
  4. 患者に適用可能か評価
  5. 適用した医療について評価

情報検索等のためのデータベースとして、次のようなものがある。

  • MEDLINE
  • EMBASE(Excerpta Medica Database)
  • CINAHL(Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature)
  • PsyINFO
  • UpToDate

生体情報処理

主な流れは次のよう。

  1. 生体の信号を検出:電気的変化は電極で検出し物理化学量はトランデューサで検出して電気信号に変換
  2. 増幅:記録可能なレベルまで増幅器で増幅
  3. ノイズ除去:アナログフィルタやデジタルフィルタを用いてノイズを除去し信号を抽出
  4. 記録:アナログはペンレコーダなどで紙媒体に、デジタルならA/D変換でコンピュータに取り込む
  5. 解析

生体計測のアプローチ

  • 受動的計測法:

生体の自発的信号をそのまま体外に誘導

  • 能動的計測法:

生体に外部から刺激を加えて、それにより起こる変化を捕捉

増幅

増幅器(amplifier)を用いる。増幅の大きさは利得(gain)といい、
利得G=20log(E_0/E_Ⅰ) [db]
で表される。E_0は出力電圧をE_Ⅰは入力電圧を表す。式から利得は出力電圧と入力電圧の比により決まる。
(余談だが、logは臨床統計や薬事統計などでよく用いられるというのをどっかで見た)

ノイズ除去

連続量をアナログ量、離散量をデジタルという。

アナログフィルタ

特定の周波数を通す又は除去する。

  • 低域通過フィルタ:ある周波数以下を通す
  • 広域通過フィルタ:ある周波数以上を通す
  • 帯域通過フィルタ:特定の周波数のみを通す
  • 帯域阻止フィルタ:特定の周波数のみを阻止
デジタルフィルタ

A/D変換でアナログ量をデジタル化する。その手順は、

  1. サンプリング
  2. 量子化
  3. 符号化

である。

  • サンプリング:

連続量をある時間間隔で区切り、その時間における値を順次抽出。間隔が小さければ小さいほど元の連続量に近くなるので精度は高くなる。
(なんか積分みたいですね)

サンプリングで得た値を定められた整数値に近似する。抽出された値と整数値との差を量子化誤差という。

  • 符号化:

量子化して得られた値を2進数に変換する。

デジタル信号のフィルタ処理

有名なものに移動平均法(moving average method)がある。これは、ノイズを含む信号に対して、連続するnこの観測値の平均値をある時間t_iにおける値とする方法。
www.heg.co.jp

解析

バーチャルリアリティシステム

IT化の最も大きな恩恵の一つ。イメージも湧きやすい分野である。システムが活用されているものは次の通り。

  • コンピュータ手術システム
  • 3D画像診断
  • 放射線治療
  • リモート治療のための3D画像技術
  • リモート手術
  • リハビリ

終わり!

疲れましたね。面白かったけど。もう少し統計的な話とか出てくるのかな?病院の医療システムがこんなに複雑化しているとは…と驚きでした。