読んだ記事:γ線バーストの観測
桁外れに強いγ線バーストを捉えた話。
読んだ記事の中でNASAとESAの共同プロジェクトということになっているようだが、日本語記事を読む限りでは東大宇宙線研も参加しているようだ。
日本語記事では観測史上最強のγ線バーストが地上の望遠鏡で観測されたことを強調しているが、今回読んだ記事ではγ線バーストの現象と観測対象としての側面にフォーカスしていた。
今回取り上げられたγ線バーストはGRB 190114Cと名前がつけられていて、地上のthe Major Atmospheric Gamma Imaging Cherenkov (MAGIC) telescopesと観測衛星Swift及びFermiによって2019年1月に観測された。
このGRB 190114Cは観測史上最強のγ線バーストで、通常の可視光線の1光子が持つエネルギーの1兆倍に相当するエネルギーを持つ。
Known as GRB 190114C, some of the light detected from the object had the highest energy ever observed: 1Tera electron volt (TeV) — about one trillion times as much energy per photon as visible light.
これまでの観測により、このγ線バーストは、恒星が崩壊する際に光速の99.999%の速度で放出されたその構成物質が恒星周囲のガスに衝突した時の衝撃そのものであるということがわかっている。*1
Previous observations revealed that to achieve this energy, material must be emitted from a collapsing star at 99.999% the speed of light. This material is then forced through the gas that surrounds the star, causing a shock that creates the gamma-ray burst itself
GRB 190114Cは50億光年離れた活動の活発な銀河の中にあるとされている。この銀河をthe Hubble Space Telescopeや the European Southern Observatory's Very Large Telescope、そしてthe Atacama Large Milimeter/submilimeter Arrayを用いて観測したところ、これまで観測されてきたγ線バーストの放出環境や高エネルギー光子が生成されるとされてきた環境とは大きく異なることを発見した。
この新発見はγ線バーストの解明や光速の99.999%まで加速された光子がどのように振舞うのかを明らかにする手掛かりになるだろうと筆頭著者の Antonio de Ugarte Postigoは述べている。
*1:これについてはこのスライドも参照。 http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/~asanok/GRB-Tokyo-metro.pdf