読んだ記事:nightmareな悪夢
こんにちは。読んだ記事が溜まる一方でまとめエントリは全く追いついていない今日この頃です。
今回は久しぶりにダークはウェブのお話をご紹介。
http://Nightmare Market is pulling up an Exit Scam, Users are Advised to Stay Away
リンク先に行くとめちゃくちゃ長いので、ここでざっくりと紹介します。
ダークなウェブにはいくつかマーケットが存在しますが、その中に Nightmareというマーケットがあります。
今回はそこで起きたお話です。
事始め…
今回の問題の発端はBTCの送受金が正常になされていないことで運営の出口詐欺を疑ったクレームからだった。手元に送信されているはずのBTCがなぜか来ていない。しかしブロックチェーンの履歴を見ると正常に送信されたことになっている。
これは一体どういうことだ、何か問題が起きているのか、あるいは運営側が出口詐欺を企んでいるのではないかという話になった。
当初はこの様なクレームに対して多くのユーザはフィッシングに引っかかっただけだろうと冷たい見方をしていたが、フィッシングにしてはクレームが鎮静化しないということで徐々に「まじで詐欺ろうとしたのか?それともトランザクションがバグったのか?」という見方をする様になった。そしてフォーラムに建てられたスレでは憶測が飛び交う様になっていた。この様な事態に対して運営側は沈黙を貫いていたが、膨らむ一方のユーザの不満を受けて運営から大本営発表をすることに。
大本営発表
ユーザの不満を受けてなされた大本営発表では、運営チームのスタッフSandmanを名乗る人物から次のような弁解が述べられていた。
- 問題は把握しているが、特に心配する必要はない。
- 出口詐欺を働く気はなく、ユーザはこれまでどおり自由に取引ができる。
- 金融システムを全面的にメンテする予定で、この期間中はBTC以外は使えない。
- トランザクション上の問題により送受金が正常に行われていない取引についてはこれを正しく処理しシステムをアプデする。
この発表後にBTCの送受金システムが停止した。BTCは使えると言ったはずなのになぜ止めたのかは不明。とにかくBTCの利用を停止した。しかし、運営が停止したのは引出しのみ。つまり、入金システムまでは止めていない。何者かが介入してBTCを奪ったことがわかった。
謎の人物登場
この後、フォーラムにithinkyougothacked(I think you got hacked)を名乗る人物が現れ自分がハッキングを行ったのだと主張した。その根拠にいくつかのベンダの最初と最後の単語を組み合わせた語呂合わせmnemonicのリストを投稿した。いくつかのベンダはこれを認めた。この言葉はアカウントを作る際に保存していたようなクリティカルなものであったこともあり、このハッキングで完全なアクセス権を入手していたことが露見する。ハッキングが実際になされたとしても、この人物が真にハッキングを行ったのかは不明なのでハッカー(仮)とする。
ハッカー(仮)との接触
接触を試みると、ハッカー(仮)からは管理者画面やユーザのトランザクション履歴、スタッフ間のやりとりのスクショが送られてきた。ほかにもマーケットの総売上や第三者預金escrow balanceなどのスクショも送られてきた。
その後
こののちnightmareにアクセスするとメンテ画面になったことから、やはり出口詐欺を働いたのではないかという見方が増えた。しかし、しばらくしてから運営チームのSandmanから再び弁解がなされた。その弁解によると、
- ハッキングはされていない。
- 複数のフォーラムにおいてなされているハッキングに関する投稿は同一人物によるものである。
- 今回の犯人は元管理者であり、この元管理者は一身上の都合により既に運営チームから去っている。
- 元管理者は管理者時代に作った偽のベンダアカウントを使ってサポートメンバのアカウントにアクセスした。そしていくつかのベンダのアカウントをロックアウトして乗っ取った。乗っ取ったアカウントのウォレットから資金を奪った。
- 今回のトラブルで受けた損害については補償する。
ということが書かれていた。つまり、元管理者は偽アカウントを作ってそれを足がかりにしていたのであって、ハッキングによるものではないという主張を行った。
後日談
なんやかんやでnightmareは復活した。しかしこのようなゴタゴタによってユーザは新たなマーケットSamsare Marketへ移動した。
Alpha Bayの閉鎖に伴うDream Marketへのユーザの流入のように、このような騒動に慣れているユーザは早々に新天地へ移動しダメージからも立ち直っているのだ。