読んだ記事：water vapor is found on Europe
今日読んだ記事。
www.nasa.gov
エウロパから水蒸気を観測したという話。
エウロパは液体の水を持つのではないかという仮説から地球以外で生命の存在が期待できる天体として有名であるが、ついに水蒸気とはいえ水の直接観測に成功した。
元々エウロパの観測でどうやら水があるらしいということはわかっていた。これは1995~2003年にエウロパが木星の磁場に影響を与えていることが観測され、kおの観測データを基にエウロパには導電性流体、地球でいうところの海があるのではないかと考えられた。2018年にこの観測データを詳細に分析したところ、エウロパは水を噴出している可能性があることがわかった。
2019年11月18日のNature Astronomyに掲載された論文によれば、NASAの研究者たちは史上初めてエウロパから噴き出る水蒸気を観測することに成功した。エウロパは毎秒2360kg程度の水を噴出しており、これはオリンピックの競技用プールを数分で一杯にすることができる量である。*1
なお、この観測成果は、エウロパ内部の活動を解明する鍵となり、多くの科学者が支持する「エウロパの表面の氷の下には地球の2倍ほどの液体の水が存在している」という仮説への証拠となり得るものである。
ちなみに今回の観測はハワイにある観測装置を使ったため、地球の大気の影響を強く受ける条件下での観測となった。そこで研究者チームは大気中の水蒸気とエウロパの水を見分けるために精密な数学的なシミュレーション・モデルを構築したらしい。何とも気苦労の絶えない話である。
2020年半ばにはエウロパにClipperという観測衛星を飛ばし、半世紀ほどかけて周回しながら観測することになっている。なので、今後ハビタブルゾーンなど、長年の疑問が解ける日がくるかものしれない。
エウロパは結構面白い天体で、公転速度と自転速度が同じなので地球に対する月と同じようにいつも同じ面を木星に向けている。このような現象を潮汐固定という。
